こんにちは!
今回ご紹介する本のタイトルは
『ケーキの切れない非行少年たち』
少年院で、発達障害、知的障害があると診断された少年たちのお話です。
「え!成績の良くない子供たちはみんな障害があるの?」
決してそうではありません。
成績は、学習の方法や時間、親子関係やその子自身の夢や希望など、さまざまな要因により大きく左右されるからです。
この本ですべての親が学べるのは、子供を注意深く見つめる目と子供の可能性を信じる温かい心です。
『ケーキの切れない非行少年たち』 書籍情報
著者 宮口幸治
発行所 新潮新書
初版2019年7月20日
ケーキの切れない非行少年たちとは、こんな子供たちだった
児童精神科医の宮口先生(以下、先生)が勤務しているのは、特に手がかかる少年たちが収容されている医療少年院です。
複雑図形の模写により先生が気づいたこと
先生は、問題行動をくりかえしていた少年に複雑な図形を写す、という課題をやらせてみます。
少年が描いた絵は、課題の絵とはかなり違っていましたが、普通の人が見たら、
「この子は写すのが苦手」といって見過ごしてしまう程度のものでした。
しかし先生は、少年が持つ問題の本質を見逃しませんでした。
世の中すべてがゆがんで見えている?
「課題の絵がゆがんで見えるなら、世の中すべてがゆがんで見えているかもしれない」
「障害により起こる問題を、だれからも気づかれず、不真面目、やる気がない、ときめつけられてしまっていたら?」
「実は犯罪を犯した少年の多くが同じ問題を抱えているのではないか?」
ホールケーキを等しくわけるという検査でも同じ問題が見えてきます。
三等分、五等分、という作業ができず、どう見ても大ゲンカになるような切り分け方をしてしまう。
それは認知能力の問題だ、ということに先生は気が付くのです。
ケーキの切れない子供たちがもつ、軽度知的障害、学習障害、とは
・明かな知的障害ではないが、状況によっては支援が必要である状態。
・多くは、通常の学校の通常の学級の中で生活している。
・IQテストなどでも見過ごされてしまう可能性がある。
・理解のある親や先生に恵まれれば、能力を開花することが可能。
・多くは以下のような問題を抱え困っている。
・簡単な足し算引き算ができない。
・漢字が読めない
・簡単な図形が写せない
・短い文章が写せない
勉強ができなくて困っている子供に具体的にどうすればよいのか
ほめる教育だけでは解決しない
先生は、実際に困っている子供たちを支援するためには、できないことを見過ごしてはいけないといいます。
できないことをできるように支援するのです。
・勉強でイライラしている子供には、勉強法を支援
・忘れ物を繰り返していたら忘れ物をしないための工夫
・カッとする子には、感情のコントロールをする訓練
・対人スキルやマナーが出来ていない子にはその習得
コグトレ!一日五分、朝の会でできるトレーニング
先生はコグトレ研究会を主宰していて、学校の朝の会でできるトレーニング方法を伝えています。
見る力を養う「まちがいさがし」や、聞く力をやしなう「最初にポン」などの他にも、さまざまに認知能力を刺激するトレーニングがあります。
・想像する
物体を、別角度から見た時どうなるのかを想像する「心で回転」
→相手の立場になって考える練習になる。
いろいろな感情のラベルをはった500mlのペットボトル。「怒り」だけは2リットル。それぞれ水をいれ、全部を大きな袋に入れて担がせる。
それを一本ずつ袋からだして軽くする。
→気持ちを出す(表現する)と楽になる、と体感できる。
特に「いかり」の感情は一番やっかいなので2リットル。
ケーキは必ず切れるようになる!勉強も親子関係も改善!
子育てが楽しい!息子への愛情を再認識
今、私たち親子は、コグトレはもちろんですが、息子が興味を持てそうな、さまざまな方法にトライしています。
成績が上向きになっただけでなく、より息子と仲良く楽しく生活できるようになりました。
この本のおかげで、注意深く息子の気持ちや能力を知ろうとするようになった結果です。
勉強のみならず、親子関係に悩んでいる方に、ぜひ読んで欲しい一冊です!
ここまでお読みいただきありがとうございました。
宮口先生の本
・1日5分!教室で使えるコグトレ
・1日5分!教室でできる英語コグトレ(学年別あり)
・医者が考案したコグトレパズル 注意力・記憶力・想像力がぐんぐんアップ!
など多数。コピーして使用可。